老人介護じいさん・ばあさんの愛しかた (新潮文庫 み 37-2)三好 春樹
新潮社 刊
発売日 2007-11
自意識の外し方 2007-12-24
この本は、自意識過剰の人に大きな福音をもたらすものである。老人とか介護といったキーワードでおさまらない、広い視座を提供する、ありがたい本だ。何を評者は言いたいか。「私は」「私が」とつい口に出す人(レビュアーもそのひとり)は、三好さんの言葉の流れに身をまかせると、「主体の変容」が始まり、楽になるということだ。なにげないエピソードに忘れがたいものがある。例えば、すでに介護のベテランである著者が新しく出会った初老の男性は、決して心を開こうとはせず、それどころか三好氏に口汚いことばを浴びせる。しかし同じ患者が、若い女性職員にはにこやかにやさしく接する。それを見て、著者は「自分が好かれなくても、スタッフの誰かが信頼されるならばケアは成り立つ」と思う。このような「わたし」に対するこだわらない意識は、ものすごく大切なことだ。
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